応募の機会が広がっても、応募者の負担は見過ごされていないでしょうか?
これまで私は、求人票に「年齢不問」と書かれていれば、必要な経験やスキルを確認して、応募するかどうかを判断してきました。
しかし、社内で採用に関する話を聞いてから、疑問を持つようになりました。
求人票には書かれていなくても、企業側は「こんな人を採用したい」というイメージは、ある程度持っているということです。
求人票には書かれない、企業側の採用希望
社内でこんな話を聞きました。
- 女性だけの部署なので、女性を探している。
- 部署の部長が40代なので、部下は自分より年下のほうが扱いやすい。
仕事に必要な能力や経験以外にも、採用する側にはこうした事情があるのだと思いました。
ただ、応募者はこうした社内の事情を知りません。
求人票の条件を満たして応募しても、企業には別の希望があるとしたら、何を基準に判断すればよいのでしょうか?
法律で禁止しても、企業の採用希望は変わるのか?
日本では2007年の法改正で、募集・採用時の年齢制限が原則禁止されました。
求人票を年齢不問にするだけでなく、選考で年齢を理由に採否を決めることも原則禁止されています。性別による募集・採用上の差別も原則禁止です。
応募の機会が広がるのは、いいことだと思いますが、、、
でも、制度で禁止されたからといって、企業側の「こういう人がいい」という希望はなくなるのでしょうか?
そうした希望が求人票には書かれていないとしたら、応募する側はそれを知らずに時間をかけることになります。
応募するにも、時間がかかる
応募は、書類を作って送れば終わりではありません。
企業を調べ、作成済みの職務経歴書を応募先に合わせて修正し、面接に進めば準備や移動にも時間がかかります。
時間のコスト|1社の選考で、応募者と企業が使う時間
応募者(1人):6時間20分 / 企業側(面接官2人):4時間30分
| 選考の流れ | 応募者 | 企業側 |
|---|---|---|
| 応募準備・応募 | 2時間 | 0分 |
| 書類選考・日程調整 | 15分 | 1時間 |
| 面接準備・対面面接・移動 | 5時間 | 2時間 |
| 採否判断・結果通知 | 5分 | 1時間30分 |
| 合計 | 6時間20分 | 4時間30分 |
※応募者1人が1社に応募し、対面面接1回を受ける場合の試算です。求人票・履歴書・職務経歴書は作成済みとし、面接60分(面接官2人)、応募者の往復移動90分を想定しています。企業側は担当者2人の面接時間を含む延べ作業時間です。実測平均ではなく、書類選考で不採用の場合は面接以降の時間は発生しません。
企業にも選考にかかる時間や手間がありますが、応募者も一社ごとに時間をかけています。
応募できる平等だけで、十分なのか?
そもそも、この制度は誰のためにあるのだろうと思いました。
年齢に関係なく応募できるのは、もちろんよいことです。
でも、企業側に「こういう人を採用したい」という希望があるなら、応募する前に知りたい。年齢や性別についても、できれば実際の希望を知ったうえで応募するかを判断したいというのが本音です。
条件に当てはまらない人の応募機会まで奪ってほしいわけではありません。
企業が求める人物像を明確にしながらも、応募の機会は制限しない。そんな両立ができればよいのではないでしょうか?
参考資料
